症状
症状で一番多いのは脳内出血です。突然の頭痛、けいれん、意識障害などを来して見つかることが多いです。年間の発見例は1人/10万人前後と考えられいて、くも膜下出血の原因となる破裂脳動脈瘤の1/10程度と頻度はそれほど高くありません。
検査方法
MRIやCT検査で脳出血が見つかった場合には、MRアンジオや3DCTAなどを行い、血管の異常が無いかを確認します。その後に血管造影検査も必要になることが多いです。
図1:CTA検査で鞠状の異常血管が認められます。
図2:血管造影検査で異常血管を認めます(赤〇)
治療方法
未出血AVM
脳動静脈奇形の未出血例では出血する危険性は2%/年前後、生涯出血率(生涯にわたり少なくとも1回の出血を起こす確率)は生涯出血率=1-(1-年間出血率)平均余命で計算できると考えられています。よって年間出血率は20代では男性で79%、女性で81%、50代なら男性で47%、女性で51%程度と算定されます。
出血AVM
一旦出血を来した場合の再出血の危険性は最初の1年は6-18%と非常に高く、その後は2%前後と未出血と同程度であろうと考えられています。
治療法には以下の様なものがあります
最も確実な止血効果を持つ治療法です。しかしAVMは周辺の正常脳組織の中に埋もれる形で存在することが多く、正常脳組織を全く損傷せず摘出することはかなり困難です。よって言語野、運動野、脳幹などの重要な脳組織に出来た場合には手術治療による合併症の危険性が高くなり、場合によっては治療不可能ということもあります。手術の危険性を計算するSpetzler-Martin分類というものがあります。
体の外から放射線を照射して異常な血管を「焼く」治療法です。放射線の種類やあて方によってリニアックやガンマナイフなどがあります。血管奇形のサイズが小さいければ小さいほど治癒する確率が高い(4ml以下では80%程度、4-10mlでは60%程度)と言われています。問題点として治癒するまでに平均で3年程度かかることで、その間の出血の危険性が残ることです。
脳の血管にカテーテルを入れて、Onxy(オニキス)という糊の様な液体を流して異常な血管をつめてしまうという治療法です。体に優しい治療法ですが、これだけで完全に直すことは現時点では難しく手術前や放射線前の予備治療として行われることが多いです。