20180803 病院前の脳卒中判定方法研究(日本JUST研究)

Clinical Prediction Rules to Classify Types of Stroke at Prehospital Stage: Japan Urgent Stroke Triage (JUST) Score. Stroke. 2018 Jul 12. pii: STROKEAHA.118.021794. [Epub ahead of print]

 Abstract>脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)を救急隊レベルで判別する方法を検討した(JUST研究)。救急隊が脳卒中を疑った症例データと最終診断との関係を検索し関連因子を21個を発見した。その後、前向き検討を追加し、ROCAUC0.9前後と脳卒中が疑われる患者でその病型を的確に分けることが出来た。

 Figureの説明>この21項目を有・無で点数をつけていくと、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血が識別出来る。既にタブレットのアプリとしてこの項目を入れるとどの病気の可能性が高いかが分かる。

 Introduction>脳卒中(脳梗塞・脳出血・SAH)は時間との勝負であるが、脳卒中の種類によって治療法が違ってくるため、搬送時にある程度予測が付くことが望ましい。しかし現在全てを鑑別しうる予測式は存在しない。今回日本において救急隊の情報からこれらの疾患を識別出来るか検討した。

 Methods>まず①既存のデータで各疾患を鑑別しうるか(病気の種類や患者年齢・内服薬など29の項目と最終診断との関連)を検討し、その後②前向きにその妥当性(ROC曲線のAUC値)を検討した。またこのデータを過去に報告されている同様の方法(CPSS, RACE, FAST-ED)でも評価し本法との違いを検討した。

 Results>①21個の因子が疾患と関連すると多変量解析で示され、各に重み付け点数(b coefficient)が得られた。②その後前向きにこの重み付け式を使用したところ、全ての脳卒中(AUC0.80)、脳梗塞(0.85)、脳出血(0.77)、SAH0.94)と非常に敏感に各疾患の可能性が示された。他の検査と比較しても同程度~良好であった。

 <川堀の感想>兵庫医大吉村教授らの研究。脳卒中およびどの種類かを21個の簡単な値で計算できる様にしたことと、更にそれをアプリ化し実臨床でも使用出来るようにした事、から今日の医療に生きる研究を報告したに非常に感銘を受けた。ただ空欄データは無で入力し計算していてブラッシュアップ出来る可能性は残されていると思うし、将来的にはAIで写真を撮るもしくは自動でデータを集積し診断出来るようになれればなお良いと思われる。