動脈硬化性頭蓋内狭窄への間接血行再建術の成績

Encephaloduroarteriosynangiosis (EDAS) revascularization for symptomatic intracranial atherosclerotic steno-occlusive (ERSIAS) Phase-II objective performance criterion trial.
Gonzalez NR, Jiang H, Lyden P, Song S, Schlick K, Dumitrascu O, Quintero-Consuegra MD, Toscano JF, Liebeskind DS, Restrepo L, Rao N, Hinman J, Alexander MJ, Schievink W, Piantadosi S, Saver JL.
Int J Stroke. 2020

Abstract
ERSIAS研究(第2相)。動脈硬化性頭蓋内血管狭窄とは脳梗塞再発率が高く治療に難渋する。間接血行再建と最善な内科治療を比較する第2相試験を行った。計52例に対して30日以内/1年以内の梗塞再発を比較したところ、手術群で10%、内科群で21%と手術群で少なかった(p<0.07)。手術群の86%は自立しており、89%で間接血行からの血流を認めた。手術合併症は2例(皮膚トラブル)で脳出血は無かった。

Figureの説明>
間接血行再建(EDAS+IMM)とSAMMPRIS試験の内科治療(IMM)との経時的変化。間接バイパスの方が再発率が低くなる。
手術の写真。硬膜は上下2層を剥がして、脳表側を削除して、体表側を脳表に置いてくる(硬膜の血管が脳表側に多いからか)。STAPatentのまま脳表を走らせる。その上から骨を充てる。
間接血行は少し入っているかなという感じ

Introduction
頭蓋内動脈の動脈硬化性病変は脳梗塞の原因(米国10%、アジア人67%)であり、最善の内科治療をしても再発は15-35%に生じる。過去に血管内治療(Chimowitz 2011Zaidat 2015)、バイパス手術(Awad 1984, Powers 2011)は効果が無かった。今回、バイパスより合併症の少ない間接血行再建手術の効果を検討した

Methods
SAMMPRIS研究の対象患者(30日以内の脳梗塞TIA・頭蓋内動脈70%以上狭窄・コラテ不良(ASTIN/SIR分類0-2)・モヤや解離を除く:再発率20%)と同じ患者群に対して間接血行再建(硬膜切開・STAを脳表に置いてくる)を行った。割り付け後30日間と1年後までの脳梗塞再発を検討した。

Results
米国Cedars-Sinai病院。52名(52歳、平均95%狭窄)が対象で、手術合併症は4%(創傷関係、脳出血無し)、89%に間接血行が脳内に入っていた。30日の梗塞再発は9.6%で以後の新規患者はおらず、SAMMPRIS研究の内科治療(20%/21.2%)より少なかった。

<川堀の感想>
動脈硬化の患者への間接血行再建は意味が無いと教わり、そう信じ切っていたが、血流が入る事や、脳梗塞再発率低下が得られる事を知ってびっくりした。ただ再発のグラフを見ると間接血行再建(EDAS+IMM)の再発は30日以内に限局している事が分かり、我々の行っている厳密な管理を伴う直接血行再建ならもっと良い成績が出せると思った(術者の技術などにも依存するため、RCTを行うことは難しいだろう)。常識だと思っていたことが、必ずしもそうではないという事を教えてくれる素晴らしい研究だと思った。Supplementary materialにはきれいな手術の写真も載っていて参考になった。

血管造影検査での虚血の程度の評価方法:SSTIN/SIR分類(知りませんでした)