くも膜下出血急性期に対するflow diverter stentの成績

Flow-diverter stents in the early management of acutely ruptured brain aneurysms: effective rebleeding protection with low thromboembolic complications.
ohen JE, Gomori JM, Moscovici S, Kaye AH, Shoshan Y, Spektor S, Leker RR.
J Neurosurg. 2021 Apr 16:1-8.

Abstract
くも膜下出血急性期の患者に対するFlow Diverter(FD)の成績を報告した。発症4日以内にFDを留置した76名を対象とした。手技に関する合併症は8%・後遺症は3%だった。85%FD留置直後には瘤内に血流が残っていたが、急性期の再出血は無く、96%6か月後に完全閉塞していた。

Figureの説明>
SAHに対してFDを置いた症例のReview。動脈瘤の再出血が0-4%DAPT絡みの出血が0-7%、ステント絡みの脳梗塞が6-12%に認められる。その中で今回のやり方は再出血0%、出血0%、脳梗塞8%と特に成績が良い
椎骨動脈解離によるSAHに対してPipelineを置いた症例。きれいに治っている。

Introduction
FDの登場で未破裂動脈瘤治療は一気に変化した。しかしFDは閉塞まで時間を要する事、DAPTが必要な事などから破裂動脈瘤(SAH)に対しては再出血や脳梗塞のリスクなどから敬遠されてきた。しかしBlister、コイル不能小動脈瘤、解離性動脈瘤などでは候補になると考えられ、当院でのDAPT方針などを含め経験を報告する

Methods
SAH発症後4日以内にFD単独で治療した76症例。脳室ドレナージ(EVD)が必要な場合にはDAPT導入前に行った。DAPTは当初アスピリン300mg+クロピド300mg2-6時間後のPRU60-120)だったが、最近はアスピリン300+チカグレル180mg or プラスグレル30-50mgとした。使用したFDPipelineSilkp64p48で、十t後の合併症をチェックしたSAH発症後4日以内にFD単独で治療した症例。脳室ドレナージ(EVD)が必要な場合にはDAPT導入前に行った。DAPTは当初アスピリン300mg+クロピド300mg2-6時間後のPRU60-120)だったが、最近はアスピリン300+チカグレル180mg or プラスグレル30-50mgとした。

Results
82%の患者でEVDを挿入し、4%VPシャントになった(アスピリン内服下で行って大出血無し)。治療した日はSAH1日目(18%)2日目(41%)3日目(22%)4日目(18%)90%で問題なく終了(PTA追加が5例・複数FD2例)。合併症はC2Anの治療で眼動脈閉塞による失明(stentからのmicroemboli)、血栓によるPCA閉塞(血栓回収)→皮質盲。2例がLSA領域の梗塞による一過性麻痺、2名が太ももの穿刺部トラブル。

<川堀の感想>
禁忌と言われてきたSAH急性期へのFlow diverter stent留置の成績。脳室ドレナージ(EVD)などの様な外科的処置による出血と急性期のステントにつく血栓性の合併症を防ぐことが出来れば非常に良い治療法になりうる。今後ステントが進化する事で更にこの治療法は良くなると思われ、将来の標準治療になるだろう。